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「あの、危ない所を助けていただきありがとうございます。えーっと、私ネイア。ネイア・トラスエルと申します」
ネイアと名乗った少女はとても礼儀正しい子であった。髪は明るい赤色のツインテール、軽く赤みがかかった大きな黒い瞳。整っているがどこか幼げな感じの顔。チラッと胸を見たが小さい。言っておくが俺は男だからな。チラッと見るのは失礼じゃないんだよ。
「私の名前はミカエル。彼がユーキで私のパートナーをしてもらってます。あなたを助けたのは彼の判断です」
俺の判断というより早とちりと言った方が正しいだろう。冷静に判断していれば俺だってあんな冷や汗かかなくて済んだ筈なのに…。しかしこのネイアという少女が俺の考えを知るよしもない。
「そうですか! もう一度御礼を申し上げます。危ない所を助けていただきありがとうございました」
そういうとネイアは俺の手を取りぎゅっと堅く握手をした。
「いやいいんだ。無事ならそれで……」
俺はその行動が恥ずかしく照れ隠しに頭の上を空いてる手でポリポリと掻く。
「強いのに威張らないなんて……二人は何処のギルド所属ですか?」
「え…ギルド?」
いきなりの単語に戸惑う俺。若干目が踊りミカエルの方を見る。
「私達はギルドを辞めて旅をしていますのでどのギルドにも所属していません」
ミカエルは俺が分かってないと瞬時に察したのか適切な言葉でフォローしてくれた。
「そうですか。そうだ! 私達のギルドに来ませんか? みんな優しいから特に困らないと思いますし…」
ネイアの言葉にミカエルは軽くガッツポーズしたところを俺はしっかりと見た。
「ちょうど良かったです。昨日寝泊まりしていて、朝イーターにテントとかをずたぼろにされたので…」
瞬時に嘘をつくミカエル。
「それは災難でしたね! だけどギルドは部屋なら余っているので大丈夫ですよ! さあさあ行きましょう! もたもたしていると日が暮れます!」
そう言って先頭を歩くネイアの跡を俺達も歩いた。
そんな俺はミカエルにちょっとだけ質問。
「そんなに外が嫌なわけ?」
「当たり前じゃないですか。お風呂に入れない日なんて滅んでしまえばいいんですよ」
ミカエル……
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