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「どうかしたんですか?」
「なんでもありません。早く行きましょう」
ネイアは頷き先頭に立って歩き始めた。
数分ぐらい歩いた所でとてつもなく大きい門に着いた。
「で、デケー!」
街に着いた途端目の前に聳える門に感動してしまった。
門を通った先にはとてつもなく大きく長い橋が掛かっており、その先は住宅街なのか明かりが点々と灯っていた。
「此処はギルドの街“ザガンラン”です。とてもデカい街で上層部・中層部・下層部の三つに分けられてるんです。私が所属しているギルドは下層部にあるんです。此処からすぐの所にあるので行きましょう」
ネイアの後を歩く。
見るもの全てが初めてでついつい周りを見回してしまう。
夜に近いにも関わらず人は混み合っているし、甲高い鍛治の鎚音や賑やかな喧騒が耳朶を打つ。
建物の作りはレンガ作りの家が多く、灰などが壁にかかり過ぎているのか黒ずんでいる。
そして何処を歩いても目に入る文字は―――
ギルド
看板には鍛治ギルドやらアイテムギルド、宿ギルドなど、何故か日本語やローマ字、中には英語で書いてあるのもある。これは仕様なのだろうか? それともクソ神が手を加えたのか? 俺が知る由はないが。
「猥雑な場所ですね…」
「すぐに慣れますよ。それより着きましたよ」
指差された場所を見ると其処には只の一軒家が建っていた。
「ギルドにしてはあまりにも小規模過ぎる家ですね」
ミカエルの率直な感想にネイアは控えめに答えた。
「まあ……最近出来たギルドですから」
「最近かよ」
ついついツッコミを入れてしまった。その言葉に敏感に反応したネイアが笑顔で此方を見ていた。
「ユーキさん。なにか?」
「いやなにも…」
目線を逸らし逃げた。
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