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しかし、無駄にしつこい性格なのか、ネイアは此方に顔を近づけてきては追随してくる。
若干ドキッとしたが顔には出さないよう心掛ける。
「早く入りませんか? 問い詰めることは後でもできます」
ミカエルの言葉を聞いても近づいた顔はなかなか離れなかったのだが、諦めたのか一回のため息と共に顔を遠ざけていった。
「そうですねー。では中に入りましょう」
俺は安堵のためか軽く息を吐き、二人の女性の後を追うように中に入る。
中では金髪を茶色のバンダナで捲り上げた青年が新聞紙を読みふけっていた。
「ネイアか? 食事なら出来てるから。適当に食べてくれ」
意外と低い声だったので驚いた。いや、でもこれはこれで……って、なに考えてんだ。
しかし、気配が一人じゃないと気づいたのか此方を横目でチラリと見た後、慌てて新聞をたたみ此方の目の前に立った。
「お、―――――ッ!」
舌を噛んだのか、口を手で覆いその場で悶えていたが、すぐさま立ち上がり深呼吸をして此方に向き直った。
「お客様ですか!?」
「違います」
「なんだ……」
ミカエルの一言で一気に落胆した青年。
「違う意味でお客様ってことですよ」
「それは……どういう…?」
「ガイ。二人はね、モンスターに襲われていた私を助けてくれたんだよ!」
「え、ネイアを? そうですか。どうもありがとうございます」
そう言って頭を下げ、礼をしてくるガイという青年に、俺もミカエルも頭を下げる。
「ああ、自己紹介がまだでしたね。僕はガイ。ガイ・ファウス。このギルドのリーダーだよ。といっても今は僕とネイアしか居ないんだけどね…」
今は? あと何人か居るけど居ないってことかな…
「私はミカエル。此方がユーキです。ところでお願いがあるのですが…」
「なんです? なんでも言って下さい」
「では単刀直入に言います。このギルドにいれて下さい。ちなみにユーキも」
なるほど……ギルドに入れば…………ってええ?
「うん。いいですよ。部屋はあと4つあるから好きに使ってくれ」
あれ……勝手に話が進んでる……
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