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ゲートの先に強烈な一筋の光が見えた。
その光に段々と近づき、其処をくぐり抜けた。
「よっと………此処は?」
「渓谷ですよ」
俺の後に続きミカエルがゲートから現れ質問に答えた。ちなみにゲートは面積を狭め消え去っていった。
「渓谷…? 基本的なゲームだと強いモンスターでうじゃうじゃな場所じゃあないのか?」
「基本的なゲーム………私にはよく理解出来ませんが大丈夫でしょう」
「ふーん…」
ゴツゴツしている地形で日の入りもいい。別に悪い場所ではないが風が肌寒い程度に冷たく、崖になっている場所から下を覗くと細い線状になった川が微かに見えるだけだった。
背筋に冷たいものが走ったのは言うまでもない。
「なにしているのですか? 早く抜けて近くの村か町に行きますよ」
「あ、ああ…」
見るんじゃなかったと後悔しながらミカエルのあとを追うように歩く。
今気づいたが、ミカエルの背中にあった翼が、今はきれいさっぱり無くなっていた。
「翼は?」
「地上では重力に圧されて重たく邪魔なので……あ、天界では出していていいんですよ? 重力が無いですから」
彼処重力なかったんだ。気づかなかった。
「天使も大変なんだな」
「基本的には神様の御世話が、ですがね」
ミカエルは心底イヤそうな顔で言った。もちろん、俺がミカエルの立場なら同じように嫌うだろう。俺だって嫌いだ。
「まあ、ガブリエルやメタトロンと話をしている時が天界で一番、充実している時間ですがね」
天界でガブリエルの言った通り、クソ神には友達が居なかった。つまりクソ神は、僕は友達が居ない。というリアルで可哀想なやつだった。
でも…俺の知ったことでは無いんだけどな…
「でもさ、なんでクソs「………静かに」あ…うん」
ミカエルに右手で動きを静止させられると、崖に張り付き陰から回り角の先を見る。
なに? なにかあったのか?
「モンスターの気配がします…気をつけて下さい」
「……わかった」
今まで楽観的だったムードは緊迫に変わった。
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