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時計を見ると、時刻はすでに22時を回っていた。
「じゃ、あたしそろそろ行くわ」
ふかふかのベッドから腰を上げ、玄関へと向かう。
ドアノブに手をかけた時、空いていた左腕が強い力で掴まれた。
振り返ると、トキオの顔。
何も言わずに、まっすぐあたしの目を見ている。
その視線はまるで、捨てられた子犬のようで。
母親に置いて行かれた子供のよう、で。
あたしが部屋を出る時、トキオはいつもこんな顔をする。
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