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「トキオ、大丈夫だから」 そんな時あたしは、精一杯の優しい微笑みを作る。 そして、目の前にいる大きな子供に、愛情たっぷりのキスをあげる。 そっと、壊れ物に触るように。 大事に大切に、慈しんで。 トキオの左手の力が緩まるのが分かると、あたしはゆっくりと唇を離した。 「またね」 この言葉は、あたし達の魔法のおまじない。 不安定な二人の、甘ったるい薬になる。
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