妖刀 幾星霜 物語

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「今、ワシの宝石箱になんと言った!」 ガラス玉。 ヘルはあろうことか、長者に真実を言ってしまった。 「落ち着いて長者。私は貴方、貴方は私。私たちの身体が大変なことになっているの」 「フゴ! フゴ! フゴ!」 ヘルの訴えも聞かず、億万長者は辺りにガラス玉とガラクタをバラ撒いた。 「ガラスではない! ガラスではない! これは本物の金! 銀! 財宝なり!」 「やめて長者!」 「フゴ! 黙れ! ワシは本物! ワシの名誉は! 栄光は! 宝石は! 輝くものすべてはワシのもの!」 ドスンドスンと床を鳴らし、億万長者はその巨体を震わせる。 「キャッ!」 ヘルに投げられたガラスの破片。 「おっと、危なかったね」 それを受け止めたのは帽子をかぶった男、館では管理人と呼ばれる者だった。  
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