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子犬のフェンリルは彼女についていかず、疲れた様子でその場に留まった。
ヘルは仕方なく、1人で探偵の住む1階の扉を叩く。
すると、「うむ、入りたまえ」という声が聞こえた。
部屋の中には一枚の鏡の前に座る、探偵の姿があった。
「うむ。死の女王ヘルよ、そろそろ来ると予想し、状況をまとめていたところだ。座るといい」
探偵の目前に置かれた机には、無数の紙が置かれている。
「私の中の探偵よ。貴方は私、私は貴方。私の身に何が起きたか、どうか教えて欲しいの」
「うむ。すべてはロキの仕業、と我輩は推理している」
「ロキが? 一体どういうこと?」
「うむ。まず、現実におけるヘル、即ち我輩たちの身体は、幾星霜という剣によって切られた」
妖刀の存在は、ヘルも知っていた。
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