神の言葉責め

4/7
前へ
/23ページ
次へ
2つ目は封印されていた星の剣、とロキは説明した。 「この折れた刀は、ニダヴェリールの小人たちが作った名刀を、ニヴルヘイムの巨人が盗み出しアース神族に追われたところ、ミッドガルドへ放られたんだ」 さらにミッドガルドの鍛冶屋が鍛え、幾星霜と呼ばれる妖刀となった。 ヘイムダルはおしゃぶりの隙間から、溜め息を吐いた。 「知っているよロキ。どちらもミッドガルドに住む人間には持て余すと言われ、オーディンがラグナロクに備えた、アーティファクト(遺物)じゃないか。一体どうやってそんな物を……」 「少し拝借してきただけさ」 「まさか盗んできたのか!? オーディンに知れたら、ヴァルキリー達に消滅させられてしまうぞ!?」 「しっ、聞こえが悪いよヘイムダル。眠らせておくよりも、使ったほうがこの子たちも喜ぶだろう」 おしゃぶりを落とすほど驚いたヘイムダルに、ロキは「まあまあ」と言って話を続けた。 「加えて面白い話がある、君の千里眼でニヴルヘイムに住む、ヘルという女を見ておくれ」 ヘイムダルが北の山の向こうを睨む。  
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3990人が本棚に入れています
本棚に追加