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2つ目は封印されていた星の剣、とロキは説明した。
「この折れた刀は、ニダヴェリールの小人たちが作った名刀を、ニヴルヘイムの巨人が盗み出しアース神族に追われたところ、ミッドガルドへ放られたんだ」
さらにミッドガルドの鍛冶屋が鍛え、幾星霜と呼ばれる妖刀となった。
ヘイムダルはおしゃぶりの隙間から、溜め息を吐いた。
「知っているよロキ。どちらもミッドガルドに住む人間には持て余すと言われ、オーディンがラグナロクに備えた、アーティファクト(遺物)じゃないか。一体どうやってそんな物を……」
「少し拝借してきただけさ」
「まさか盗んできたのか!? オーディンに知れたら、ヴァルキリー達に消滅させられてしまうぞ!?」
「しっ、聞こえが悪いよヘイムダル。眠らせておくよりも、使ったほうがこの子たちも喜ぶだろう」
おしゃぶりを落とすほど驚いたヘイムダルに、ロキは「まあまあ」と言って話を続けた。
「加えて面白い話がある、君の千里眼でニヴルヘイムに住む、ヘルという女を見ておくれ」
ヘイムダルが北の山の向こうを睨む。
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