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すると、そこに黒い子犬を抱いた女王の姿が見えた。
「……ああ、静かで美しい女がいるな」
「彼女の心にはエリュズニルという館が存在し、そこには複数の人格が住んでいる」
以前、死の女王ヘルは戯れで人間の娘として生きた。
ミッドガルドのとある国で平凡な娘に転生したのだ。
神の名残りこそなかったものの、その心の奥底に同様の館が存在したという。
「人間のときの彼女の言葉を借りると、それは〝リボルバーマンション〟というそうだ」
ロキが得意げに説明するなか、ヘイムダルはギャラルホルン(おしゃぶり)を拾った。
「はむはむ。なぜそこまで知っている」
「彼女は僕の娘だ」
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