僕にとって

男と女

テーブルに一人残された僕は携帯を取り出し、姉の携帯に電話した。
しかし、姉の携帯は留守電になっていた。
「今日は戻らないから」
ただそれだけを伝えた。

由佳は、出来上がったパスタニ皿をテーブルに並べた。
「食べて」
由佳は僕の正面に座って、食べだした。
僕が食べ始めると由佳は、不意に呟いた。
「正直、さっきは生で入れるからびっくりしたよ」
僕は、食べていた麺を吹き出しそうになる。
「食事中なんだけど」
「私、生でやったことなかったから」
僕の注意は無意味だった。
「パスタ、おいしいね」
僕は、話をすりかえた。その後、僕たちはたわいもない話で盛りあがりながら昼食をすませた。

その日は由佳の部屋に泊まった。