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コンコン…
私がいる病室の扉をノックする音が響く。
返事を返すと看護婦の人と女の人が入ってきた。
「幾久ちゃん、黒田<くろだ>先生がいらっしゃいましたよ」
私はベッドから身を起こし2人に寄り添った。
「久しぶりだね、幾久ちゃん。頼まれていたCD買ってきたよ」
鞄からCDケースを取り出し私に渡した。
私はそのままCDラックにしまった。
「もう16歳かあ、早いなあ」
この女の人は私の専属医師の黒田唯子<くろだゆいこ>。ここの病院に来てからとても気にかけてくれていていい女医さんだと思う。
「いやあ、若いっていいなあ」
黒田先生は私の頬を撫でてきた。
「…先生、何かよう?CDだけじゃないでしょ?」
動かしていた手を一度止め、ベッドに腰を下ろす。
私もその隣に座った。
「よくわかったね…」
「…そりゃあ長年一緒にいるから」
そういうと黒田先生は真剣な顔をなって私をみた。
「話はね、来月診察をします。今の幾久ちゃんの心臓の状況はどうかを調べるために」
「…わかった」
私はあっさりと了承した。
いくらやりたくないっていってもやらなければやらないから。
「…じゃあ、また何かあったら呼んでね?」
「…うん」
黒田先生は立ち上がりこの病室をあとにした。
私は机の中からCDプレイヤーを取り出し先ほどのラックからCDを聞き始める。
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