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ピピピピ...
雲一つない青空。
カーテンの隙間から光の漏れる、キラキラ朝日。
ああ、それにしても…
…目覚めが悪い。
昨日は話をするの決めたものの、やっぱりなかなか寝つけなかった。
ふと携帯に目をやると、受信メール一件の文字。
差出人は、奈々だった。
『おはよう!
今日は頑張ってね。
あんたなら大丈夫だから、言いた いこと全部言っておいで!』
気の利く奈々のことだ。
朝も早くから忙しかったのだろう。
絵文字一つもないが、とても暖かい気持ちになるたった三文。
不安が一気にどこかへいったみたいだった。
「雅ー?まだ起きなくて大丈夫なのー?」
「はいはーい、今下りるから!」
階段を駆け下り、台所へ向かう。
「なんかあんた隈すごくない?」
――…やっぱりか。
「…んー、気のせいじゃない?」
「ご飯食べたら急がないとよ。」
「うん。もう食べた!」
「え、もう食べたの?」
「おっす!いってきます!」
大きな声で『いってきます』を告げた後、雅は走りだした。
勢いのついたまま校門を走り抜けると、黒い軽から降りる大今と目が合った。
「森久保、今日は早えな」
「大今先生!おはようございます!」
「あ…あぁ、おはよう」
大今の返事を聞かずに、雅は2組に向かった。
奈々がこちらに気付いて近づいてくる。
「雅…」
やはり隈から眠れなかったことを察したのか、どことなく気遣うような声だった。
「…奈々、おはよう。幸一…呼んでくれる?」
『幸一』という固有名詞を口にすると少し胸が痛くなるが、作り笑いで口角を無理矢理あげてみせた。
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