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七限が終わり、帰りの支度を始めた。
決戦の時は刻一刻と近づいてくる。
かばんを持とうとした瞬間、中で小刻みに携帯が震えていることに気がついた。
「…メール…奈々から」
メールを開こうと思ったが、中央ボタンを押す指を止めた。
『件名: 事が済むまで見ないで。』
不思議に思ったが、携帯をしまって教室から出た。
校門前で待ち合わせたあとは、ファミレスにでも行こうか。
そんなことを考えていると、幸一が来た。
「…お待たせ」
「あ…。……うん」
「とりあえず、ファミレスにでも入る?」
「あ、うん」
「いや、公園で大丈夫か。駅行く途中にちっせえのあったよな?」
そういうと幸一は、スタスタと歩きだした。
公園までの無言の時間。
以前は何も感じなかったこの空気が、今は息をするのも苦しいくらい心地悪い。
公園につき、どちらからともなくブランコに乗った。
幸い、公園には誰も居なかったが、薄暗くなった辺りとこの空気が窮屈で仕方がなかった。
どれくらい無言だったろう。
「…で。話ってなに」
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