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沈黙を破ったのは、幸一の一言だった。
「あ…えっと…」
思っている通りに言葉がでてこない。
『これからまだ付き合っていくの?』たったこれだけが言えない。
錆びたブランコの無機質な音と、生暖かい風に乗せた木々の歌声だけが小さな公園に響く。
「俺は…」
黙り込んだ雅の横で、幸一が口を開いた。
ドクン、ドクン、と嫌な音を立てる心臓。
覚悟は決めていたはずだった。
「雅…、俺はな…」
言わないで。
お願い、言わないで。
一番聞きなくないその言葉。
言わないで……
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