高校2年17歳。

3/3
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
雅を呼ぶ声の先には、国語担当の大今(おおいま)の姿があった。 「え?大今先生?」 「雅…なにやったんだよ?」 「…なんにもやってない…と思う」 和と話し合っている間にも、大今は雅を大声で呼び続ける。 「おーい、森久保はおらんのかー?」 ジロリ。 …うぅ。 クラスメイトのどうにかしてくれという視線に負け、雅はしぶしぶ声のするほうへ向かった。 「…はい」 「なんだ、森久保居るじゃねーか。あぁ、お前このまえのテストのことなんだがな…」 ガラッ クラスの視線が雅に集中する。 「大今なんだったんだよ?」 「んー。このまえのテスト褒めにきたみたい」 「それだけかよ!」 「うん。それよりあんた、予習どうしたの?」 「え?よしゅ……あああああ!!」 「やってないのか」 「雅様お願いします!どうか写させてください!」 「だーめっ。…あっ!」 キーンコーン… カーンコーン 「ぎゃあああああ!!」 「はははっ!」 「きりーっ!」 ガタガタッ 「おねがいしまーす」 この後和は、一人廊下で穏やかな春の陽気の中に寒風を感じながら一時間を過ごすことになる。 ぬくぬくとした5月のとある1日であった。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!