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ー元日ー
年が明けて三が日は神様は大忙し。
「神様。
今年も来ましたよ~」
ピンクの可愛らしい段ボール箱を抱えた男がいそいそと現れた。
頭に黄金の輪付け背中に真っ白の羽を生やした彼は神様直属の天使。
金髪にサングラスでちょい悪風な立ち振る舞いで近寄りがたい雰囲気ではあるが気のいい奴である。
「え~。
まじぃ~。
超絶面倒くせぇ~」
ピンクの段ボール箱にどっさり入った紙切れを見て『神様』と言われた人物は物ぐさそうに言う。
天使と同じく黄金の輪と純白の羽を持っている。
何でも見透かしてしまいそうな金色の瞳が印象的に見える。
見た目はサラサラの金髪に長身のイケメンで到底神様には見えない。
若く見えるが推定年齢は300歳を軽く超えている。
「新年早々やさぐれないでください」
神様のやる気のなさに天使は大きなため息をついた。
「ノリだよ。
ノリ。
頭固いな~」
神様は口を尖らせて言う。
「どういうノリだよ、バカ」
嫌そうな顔をして天使はつっこむ。
「あ~。
今バカって言った!」
天使の呟きを神様は聞き逃さなかった。
「気のせいです」
澄ました顔で天使は何も言わなかったフリをする。
「まぁいいや。
天使、例のブツを……」
神様はちょいちょいと手招きをした。
「野暮な言い方しないで下さい」
神様の言い方を天使は指摘する。
「はいはいはいのはいはいさん」
神様は天使を小ばかにする。
「……神様じゃなければぶっ飛ばすんだけどな」
小ばかにされた天使は頭をかきながらピンクの段ボール箱を神様に渡した。
「テンションあげなきゃやってられんよ」
ピンクの段ボール箱を上下に揺すりながら神様は中身の量を確認する。
「先代の神様はもっと威厳があったのに……」
しみじみと天使は言う。
「親父と一緒にするなっての。
さてと……どんな願いがきてるかな」
神様はピンクの段ボール箱から一つの紙切れを取り出し内容を見た。
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