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「あーらら、不法侵入して来た上に鼻血で床を汚すとかマジ無いわー。
この民宿から請求された場合全額そっちの負担にさせるから。」
「それはお前が─────」
「シャラップ!!」
オレに対して何かを言いかけた不審者集団の男の頬にスナップを効かせたビンタを喰らわせ、
脳を揺さぶられ激しい酔いに似た感覚を味わったであろうそいつは四つん這いになり胃の中の物を逆流させた。
うわっ、汚なっ!!
「クソッ、こうなったら全員一斉に────」
「仲間がリバースしたんだからテメェらで片付けましょうや。」
刺叉という金属製の棒が2つに分かれた人の胴体を取り押さえるための武器を構えた不審者集団だが、
廊下の幅は狭く2人並べば限界なので実質オレに何かをできるのは一番前の一人だけ。
突き出された刺叉を掴み後ろに引き、刺叉と一緒に前に引かれたそいつの襟首を掴んで投げる。
オレに投げられたそいつはまだ四つん這いのまま吐いていた奴に当たり、嘔吐物の丁度上に被さった。
「…………理不尽。」
「オレ達に喧嘩を売って来たこいつらが悪い…………つか全員元から無一文ですかぃ。」
5分経たない内に民宿の中にいた不審者集団10人を行動不能にして懐を探ってみたのだが、
ものの見事に一文無し。
この国の住人は普段財布を持ち歩くものではないらしい。
「…………しまった、全員気絶させちまったよ。」
恐らくこの不審者集団を雇った奴がいると思われるのでそいつから迷惑料を貰うと言う選択肢が出るも、
時既に遅く不審者集団の中で目を覚ましそうな奴がいない。
いや、まだリーシャが外の奴らを相手にしてるはずだからそいつらに聞こうと思って行ってみると、
「ヒ、ヒィ!?
や、止めてくれ!!」
「ハハハ、口では止めてくれと言っても体は正直ですよ?
何ですかこの靴越しでも分かる固い物は?
踏まれて興奮するなんてとんだ変態さんですね。
いっその事踏み潰して────」
「止めいアホ。」
リーシャが暴走していた。
まるでドS女王様のような雰囲気を放つリーシャは一人だけ気絶していない不審者集団の……男の急所をグリグリと踏み付けていたのだ。
…………本格的に壊れてきたな。
「何ですか時也さん?
まさか時也さんもこの方と同じように────」
「んな訳あるかボケ。
男として見てて痛々しいから止めれ」
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