第4ステージ突入?

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明日娘が誘拐されるという俊から聞いた情報を元にそう言ってやると、安西氏は隠す気力すら無いらしくわざとらしいまでに反応し、 目をこちらに向けず泳がせている事から何かを葛藤している事が容易に見て取れる。 娘を狒々から守れる陰陽師(偽)が目の前にいるのに、それに助けを求める事ができない事情がある。 さて、これ以上この無駄な時間を延ばすのはダルいし一気に畳み掛けますかね。 「何か事情があるって事は分かりましたけど、事情だけでも話してみませんか? オレ達が依頼に失敗して妖怪の怒りを買ったら…………等と考えるのも無理はありませんが、 一応これでもオレ達は陰陽師の中じゃ名が通った方です(嘘)。 狒々程度には遅れをとりませんよ。」 顔を全体的に土気色にするまで溜めた心労を解放してやるって言う美味しい餌を用意してやったんだから、 さっさと食いついて欲しいもんだね。 今この瞬間倒れてもおかしくない安西氏は生気が抜けた表情ながらも内で何かと激しく格闘し、 そして出た答えは───── 「…………その3人を客人として迎えなさい。」 抑揚の無い蚊の鳴くような声で。 しかしどこか諦め安心したかのように。 安西氏はそれだけ言い残して背中を見せ屋敷の中へと戻って行き、オレ達は客人として別の入口から屋敷の中へ。 屋敷の中の造りは前に一度京都で見た武家屋敷と相違ないため、新しい発見も何もあったもんじゃない。 「…………改めまして、私は御上よりこの街を預かっている安西雄介と申します。 貴方達を捕らえるよう命令した私の御無礼、謹んでお詫び申し上げます。」 客人として通された30畳は軽くある部屋で、護衛も何も控えさせていない安西氏は深く頭を下げるが、 何かもうこのままだとポックリ逝きそうなので気にしてないですよと止めさせた。 「まあいつもの事で慣れてますから別に良いんですけど、襲われる理由が分からないのは気分良くないんで、 それだけ説明してもらえます?」 「……………《明光の智》による国家転覆陰謀説。 御上は《明光の智》を危険なものとして排除するよう各国に内密にお触れを出し、 《明光の智》の関係者である場合捕らえ都に送るよう命令を下してきたのです。」 《明光の智》…………ヤバいヤバい、知らねぇよそんなもん。 …………いや、多分流れから察するに《明光の智》は陰陽師の集団じゃないか?
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