第4ステージ突入?

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「…………明美、入るぞ。」 この短時間にどうやって立体的な猿を折ったのか解説してもらいながら歩いていると、他の部屋とは障子から違う部屋の前で立ち止まった。 すると蚊の鳴くような掠れた小さな声で入って下さいと返って来た。 「…………お父様、そちらの方がたは? さしずめ最後に私を楽しませてくれるために雇って下さった曲芸師といったところでしょうか?」 和歌に袖の乾く日は無いという物が確かあったような気がするが、正にその通り目を赤く泣き腫らした女性が、 今だ尚部屋の隅で涙を流し泣いていた。 元は端正な顔なのだろうが、今はその面影すらも見当たらない程に泣き腫らした目が顔を醜く彩っている。 娘の死を覚悟した悲痛なる言葉を心痛むと言った表情で聞いた安西氏は、静かに目線だけでオレ達にお願いしますと訴えかけてきた。 「追加料金さえ払って下されば大道芸でも何でもお見せしますよ。 居合斬り10連続が一番の見物ですね…………と、冗談はそこまでにして。 オレ達の本当の職業は世のため人のために料金に応じてサービスを追加するフリーの陰陽師(偽)です。 貴女の父君からの依頼で貴女を狒々の魔の手から守る事になりましたので、もう安心して下さって結構ですよ?」 ピタリと、止めようと思っても止められなかった涙が止まり、 安西氏の娘の明美は信じられないと言うようにオレ達を凝視してきた。 「陰陽師? その…………折り紙を折っている少女が?」 「いや、おかしくね? 茜は一時的にオレ達が預かっている普通の少女で陰陽師はどう考えてもオレ達だからね。」 やべ、丁寧口調崩れたし。 でもこの状況でいきなりボケられたんだから仕方ないっちゃ仕方ないはず。 つか天然かこの人は? 「そ、そうですよね。 それにしても…………何でこの街に陰陽師様がいらっしゃるのですか? それにお父様の話だと、陰陽師は見つけ次第御上に引き渡すよう命じられていたはずでは…………」 「貴女のためですよ。」 何故、本当に陰陽師なのかとオレ達と安西氏に問い掛ける明美に対して、 リーシャはオレ達と安西氏を代表して答える。 「貴女のお父様は貴女を守るために御上に逆らってまで私達に依頼してきたんです。 だからお父様には感謝しなきゃ駄目ですよ? そしてもう安心して下さい。 陰陽師として貴女を守ります────時也さんが。」 「オレだけッスか?」
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