第4ステージ突入?

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高校の文化祭等の出し物としてやる冗談の女装なら許せるものの、眠らされている間に好き勝手他人に女装させられるなんて、 水鏡家末代まで残る恥だ。 ……いや、別に水鏡家が由緒ある家って事は無いんだけど。 そして砕かれたプライドは最早どんなパズル名人であっても繋ぎ合わせる事ができない程に粉々で、 もしこんな姿をここにいる以外の知人に見られようものなら即行自殺するね。 「ハァハァ、まさか服を女物にして髪を伸ばして少し化粧をするだけでここまで変わるなんて…………流石は時也さん、良い物を持ってますね。 男の娘に興奮するなんて久しぶりです!」 「興奮すんなや! …………つか最近お前腐をさらけ出し過ぎだろうが。 1年も一緒にいたのに何で最近いきなり暴走し始めたんだよ?」 「流石に戦争中はメンタル的に無理ですって。 じゃあ、明日の作戦決行までその格好でお願いしますね。」 「ああ、分かっ─────んな訳ねえだろうが!!! 一分一秒でもこんな姿でいたく無いってのに、明日の夜までこのままいろとかふざけんじゃねえよ!! いい加減にしねえとブチギレ────」 このままではプライドの先にある何かが壊れそうなので何とか回避しようとしたのだが、 無情にもリーシャはいつの間にか撮った数枚の写真をチラッと見せ、 「唯 さ ん に バ ラ し ま す よ?」 「すいませんでした、喜んで務めを果たさせて頂きます。」 無理だ、絶対に無理。 リーシャならともかく唯にだけは絶対に知られたくない。 そうなれば確実にオレの一番大切な物が崩れる。 何故こうなった? それはオレが油断していたからなのでリーシャのみを責める事はできない。 そうだ、オレには女性を極力危険に曝させ無いって言う信条があるのだからこれは仕方ない事なのだ。 割り切れオレよ。 「…………ドンマイ、でも似合ってるから。」 「もうオレ駄目かもしれない。」 こうしてオレは明日の夜まで女装した姿でいる事となり、自分の中の何かと格闘しながら過ごすのであった。 時折心配そうにかけてくれる茜の慰めは、逆に右ストレートをぶち込まれたかのような威力があったのを茜は知らない。 「では時也さん、作戦通り誘拐されて狒々の本拠地に忍び込み、狒々の殲滅をお願いします。」 「…………やっと解放されるのか。 全員ブッタ斬ってやるよ。」
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