続・オレが勇者！？

鬼夜叉

「…………………」

「…………………」

互いに言う言葉が見つからないと言うよりは、何も言うなという暗黙の了解での沈黙が訪れる。

…………そう言えば、昨日の夜から幽霊船なら海坊主やら何やらで何も食って無かったんだよな。

つか、オレの場合何もしなくてもホルモンの異常分泌とかで常に筋肉が鍛えられている状態にあるから、
一日のカロリー消費が半端無くて一日絶食しただけでも生命の危機になるんだよな。

それを避けるために常時直ぐにエネルギーに変わる砂糖を固めた物を持ってたんだけど、
海に落ちた時に流されちまったからヤバいのヤバい乗。

本当にガチでマジヤバい。

糖分や脂肪として体に蓄えられたエネルギーが全部無くなった場合、
細胞がエネルギーを作り出すために自分を分解する自食作用〔オートファージ〕って言う事が起きるんだけど、
要は自分を食ってる訳だから、確かに少しエネルギーが生まれるけど食い尽くしたら死ぬ。

一回どころか何度も死にかけたからな。

特に寝てる最中とか分かんねえし。

「…………とりあえず人里を探して何か食い物を貰おうぜ。
そうじゃないとオレが冗談抜きに死ぬ。」

「…………水泳って言うのは全スポーツの中でも特にエネルギー消費の多いスポーツであって、
着衣したまま２時間程も泳いだのだからお腹が減っても何ら不思議ではない事であり、
決して私は食い意地が張っていると言う事は無いので勘違いしないでもらいたい。

そしてこの後食べる量が多かったとしてもそれは私が大食いという事では────」

「要はお前も腹減ったから早く食いたいって事だろ？
別にお前が大食いだったとしてもオレは気にしねえよ。」

「違うもん、大食いなんかじゃないもん！！！

馬みたいに好きな物をモリモリと食うのは育ち盛りって証拠だから結構だけど、
カロリーとか考えないと太るぞって時也君に言われたけど違うもん！！

確かに平均的な女の子よりは食べる量が多いかもしれないけど、あくまで平均的な女の子と比べてであって────」

「自分で大食いだって認めてんじゃねぇか。」

違うもん違うもん違うもん…………なんて駄々っ子みたいな連呼が聞こえるけど知らんわ。

別に唯が大食いだとしても、それも時也の女だからで片付けられるから問題無い。

時也と関わりのある奴は全員色んな意味で常軌を逸脱してるからな…………オレ除いて。