鬼夜叉

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それは置いておいて何だよと聞くと唯は一度焼き払われ更地となった村を────焼け焦げて黒くなっているので分かり難いが、 木や屋根等の太陽を遮る物は無いはずなのに地面に映った影を見下ろしてから空を見上げ、 「何かが私達の前に落ちて来ていると言うより空から降りて来ている=敵という方程式が成り立つか否か?」 「腹減ったし何故か今ので魔力尽きかけてるからNOである事を願いたいけど、余程運が無い限り残念ながらYESだな。」 「逃走希望。」 「空を飛べる奴から走って逃げられると思うならどうぞ。」 ですよねーと諦めモードに入ったオレと唯は、これ以上空腹度を高めたくは無いがそれ以外方法が無いので仕方なく迎え撃つ事に。 ここからがこの世界の本番と言われる第4ステージのモンスターだとしても、オレ達が離れ離れになる原因となった海坊主でもない限り、 あの闘いを生き抜いたオレ達の相手が務まるとは到底思え無いな。 …………だが、空腹という生涯の強敵が腹の中に潜んでいるのもまた事実。 中々厳しい闘いになるかもしれない。 『…………儂の遊び場を壊すとは冗談にも程があるぞ人間〔エサ〕共よ。』 「お前顔真っ赤ってレベルじゃないし鼻が異様に長い気がするけど色んな意味で大丈夫か?」 空からオレ達の前に降りて来たのは、赤のペンキを塗りたくったような顔で鼻が10cmは優に越えた、 右手に麻に似た葉を持つ西洋ではまずお目にかかれない服を着た…………人間、なのか? あれ、そう言えばあんな感じの服どっかで見た事があるような無いような。 『貴様、人間の分際で儂を馬鹿にするか!? この鼻は儂ら天狗の誇りなる物ぞ!!!』 「長い鼻が誇りなんて言われてもねぇ? どう見ても慰めてやりたいくらい邪魔だし、嘘をついたら鼻が伸びるピノキオって言う童話もあるしな。 鼻が長い事を自慢されても、 あなた嘘つきなんですね分かります、ってな感じで終わりだし。」 余程長い鼻がコンプレックスだったのか、ピノキオ(仮)は激昂しどれだけ長い鼻が誇らしいか語って来るが正直哀れの一言に尽きる。 あんな長い鼻じゃ、殴って下さいと言ってるようなもんじゃね? そうかそうか、君も大変なんだね的な哀れみに満ちた視線をピノキオ(仮)に送っていると、 体を小刻みに震わせて必死に笑いを堪えている唯が服の裾を引っ張り言ってきた。  
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