鬼夜叉

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「当たった…………のか?」 先程の翼か何かが骨ごと潰れたかのような気色の悪い音と感触、そして今天狗が地面に擦り付けられながら滑っている所を見ると、 どうやらオレの蹴りは天狗に────妖怪というカテゴリーに当たったようだ。 こちらから攻撃する時は擦り抜けるが、あちらから攻撃してきた場合その瞬間は実体を持ちオレ達でも触れられるんじゃないか…………と思ったが、 海坊主の時を考えるとあの時船の上にいた奴らは同じ事を考えて、直前まで引き付け────やはり擦り抜けられた。 だとしたら何で当たったんだ? 特別な事なんて多分一切して無いし、強いて言うなら脚甲に炎を纏わせたくらい。 それで物理的な力や魔力・心力を使った魔法や能力が全て通用しない妖怪に効くとは到底思えないんだが…………… と、こんな事を考えていたその時だ。 ━━━━━━━━━━━━━━ ※注意※ この第4ステージに存在するモンスターは妖怪と呼ばれ、大地の力が邪な方向に神格化した存在であるため直接攻撃や魔力や心力による攻撃は一部を除いて通用しません。 ダメージを与えるためには神具と呼ばれる特殊な装備が必要となり、それによって吸収した妖怪の魂の分だけ魔力や心力による攻撃は通用します。 ━━━━━━━━━━━━━━ 「早く言えよ。」 突如目の前に現れた画面に記されていたのはそうツッコまざるを得ない内容だった。 ふざけんなし。 妖怪に直接攻撃とか魔法や能力が効かないとか身を以って体験して死にそうになった事でやっと分かった事だし。 つか神具って何だよ? 「一部を除いて通用しません、ねえ…………」 オレが画面の中で着目したのは、直接攻撃や魔力や心力による攻撃は一部を除いて通用しませんという所。 つまり裏を返せば一部は効くって訳だ。 だけどその一部の中にオレの炎を纏った蹴りが入っているとは考え難い…………ん? 視線を自分の足に落とす。 オレの足に嵌められていたのは、膝の所に刺が付いた全体的に攻撃的な形の脚甲。 デザインは紅と黒が入り混じったお世辞にもセンスがあるとは言えない禍禍しい物。 確かこれは裏ステージの地獄第四層 血河で悪趣味なボスを倒したら手に入った一品。 因みに裏ステージって言うのは、特殊な条件を満たしたり全くの偶然で行けたり無理矢理連れていかれたりする、 特別難易度の高いダンジョンだ。
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