鬼夜叉

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そしてその裏ステージの主を倒せば特殊な装備や普通では手に入らない能力を得る事ができるらしい。 …………今まで余り意識して無くてただ黒い炎が出る脚甲とだけ思ってたけど、妖怪に当たった事からすると結構凄い物だったんじゃね? 「って事は、ミシェルと時也が手に入れた装備も妖怪に有効って事か?」 火事場の馬鹿力とでも言うのか、無駄とは分かっていても一矢報い無ければ死んでも死にきれないと放った死を覚悟して放った蹴りは、 今だ天狗に止まる事を許さずコミカルな体勢で大根おろし宜しく地面に擦りつけられている。 まあ、一撃でHPの95%以上を持って行くなんて真似してくれたんだから、この後オレがやる事なんて一つに決まってる。 この脚甲が妖怪に有効だって事が分かった訳だし、 「─────三十六計逃げるに如かずってな!!! 対抗策が見つかっても魔力がもう無いから打ち止めだぜコノヤロー!!!」 無理だ無理。 例え妖怪に有効な装備である事が分かったとしても魔力が無いんじゃ話にならない。 今さっきダメージを伝える声が頭の中に流れ込んで来たが、それはまだ天狗が生きているという事の証明であり、 魔力が尽きた今の状態で闘ったのでは先程までと同じように超一方通行な構図ができあがるだけだ。 ならば逃走だから逃走認められる逃走。 人はこれを戦略的撤退と呼ぶ。 「あ、ロイド君見つけた!!!」 「見つけたじゃねーよ、何戻って来てんだお前は!!?」 あの大根おろし状態では意識を失う事もできずいずれ止まり追って来る可能性があるため、 唯を回収してさっさと遠くに逃げようとした所に何故か勝ち誇ったような笑みを浮かべている唯が登場。 悪い予感しかしないのは気のせいでは無いだろうし、その横にいる奴は誰ですかって。 「私が来たからにはもう安心なのだよロイド君。 さあ、やっちゃって下さい!!!」 「不安に不安を塗り重ねた感じしかしないんだけど!!! つーかそれ他力本願!!!」 唯のお願いと言うか命令に無言で頷いたそいつ────篭のような物を被って顔を隠し首から下に黒い布を全身に纏った、 怪しんで下さいと言ってるような夜道で出会ったら全力で逃げたくなる格好をした不審者は、 オレの横を通り過ぎていき何とか大根おろしから抜け出した天狗へと迫り─────一閃。 神具か特殊な装備が無ければ触れる事さえできない天狗を斬った。
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