鬼夜叉

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一般ピーポーから脱線した者か否かと聞かれたら特異な体質があるので少々迷うが、 柳生晴明の言う妖怪に干渉できる小難しい設定のある力なんて無いので胸を張って一般ピーポーと言えるはずだ。 …………いや、一般ピーポーで胸張れる要素ねぇわ。 「残念ながらオレはアンタの言う風魔とか妖魔とか明王とかそんな訳の分からん力は持ってねぇよ。 強いて言うなら普通の人間には不可能な怪力が出せる特異な体質があるだけだな。 さっき天狗の野郎に一撃ぶち込めたのはこの脚甲のおかげさ。」 妖怪に干渉できるこの特殊な装備の事を軽々しく他人に言って良いのかふと疑問に思ったが、 このままでは話が進まないし唯が聞きたがっているので要所をかい摘まんで話してやった。 話を聞いている間柳生晴明は訝しげにオレの両足に装着された脚甲を眺めていたが、 触れただけで何かが分かったらしくもう疑問は無いと眉間に寄せていたシワを戻す。 「地獄という異空間の主を手に入れたと言うが…………確かにその脚甲から感じる力の波動は現世のものではないな。 妖怪に干渉できたのは恐らくそれが生み出す力は妖力よりも霊的に上位に位置するからであろう。 中々興味深い。」 「…………これは今オレ達にある妖怪に対抗する唯一手段だから貸す訳にはいかないけどな。」 物欲しそうな目で覗き込んでいるので若干視線を冷たくして言ってやったら、思い出したと言うように柳生晴明が懐から何かを取り出す。 それは麻の形をした団扇…………見た覚えがあるも何も天狗が所持していた物を少し小さくしただけの物で、 端の方に血が付着しているが気にしたら負けというやつだろう。 「某は横からトドメの一撃を奪ったようなものであるため、この神具は貴公が受け取るべきであろう。 序列は丙であるため高くは無いが、甲以下の妖怪と闘うならば問題無いであろう。」 「いや、丙とか甲とか言われても私達神具とか妖怪とかよく知らないんで、 もし良かったらそういうの諸々を教えてくれると有り難いでーす。」 あ、無駄に難しい言葉だと理解できないので極力簡単な言葉でお願いします!! そう付け加えられた事で柳生晴明は一瞬顔を苦々しく歪めるが少しでも分かり易いようにと地面に図を描き出す。 図とは言っても丸の中に妖怪や神具などの名前を書いたものだが。 中には鬼なんてものも独立してあるけど何なんだ?  
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