『強制部活』

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「え?」 「だから、部員は私と有くんだけなの」 それって部活って言えるのか?というか今、有って言った? 「あの……どうして俺の名前を?」 「いや、新入部員だからだよ」 説明不足にも程があるだろうが、俺は幸いにも 理由を察することが出来た。 答えは簡単。 入部届けだ。 仮にもこの人は部長なのだから、新しく入ってくる部員のチェックぐらい入れるのだろう。 これで謎(?)が説けるわけだ。 「で、何故部員が他に居ないんです?」 「それはね……去年に居た先輩たちがみんな卒業しちゃったの。当時一年生は私だけだったから」 ふむふむ。なら部員が他に居ないのも合点が点く。 「だから、今月一杯までに部員を集めないと廃部になっちゃうの」 与野先輩は下を向き、申し訳なさそうに話す。 「だから、入って来てくれてありがとー!」 そう言い、部長は俺に抱き付いて来た。 抱き付いて来たというより、押し倒したという表現の方が似合うかもしれない。 「ちょっ……先輩!?何を」 「ごめんごめん。私、人に抱き付くのが好きなんだ~♪」 胸元で頭をすりすりする先輩。 まあ俺も男なわけで……嫌という表現は嘘になる。 「よろしくね。有くん」 こうして俺の新聞部生活が始まった――――
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