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前年、周防電鉄は所謂“余命宣告”を受けた。
かつては貨物輸送で繁栄を誇った周防電鉄も、沿線地域の過疎化とモータリゼーションの波には勝てず、今や単線で1両編成の列車を細々と運行するのが限界だった。
毎年5億円に上る累積赤字が減少する見込みもなく、今年赤字額が更に膨張すれば路線廃止という宣告を突き付けられたのだ。
最早誰もが廃止という道は避けられないだろうと覚悟する。
しかし──。
蒲田は勿論、周防電鉄の内部を知る人間にとってみれば、そんなものは怖くも何ともない。
廃止宣告より何より怖いのは、周防電鉄社長・鮫洲であった──。
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