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だが……。
異変はすぐにやって来た。
その日、始発列車として運行するはずの列車が、定時を過ぎてもやって来ない……。
無線などという設備はない城西駅でも、人が疎らなホームを蒲田は右往左往して落ち着かない。
遅延など殆どなかったのに──。
既に蒲田の頭には、一抹の不安しかなかった。
運転士である川崎が彼に車両故障の一部始終を伝えに来た時、ちょうど鮫洲が現れた。
「おい、川崎、野良猫を守るために車両を故障させただと!」
鮫洲は憤慨し、川崎に掴み掛かる。
「社長、申し訳ございません。」
川崎はうなだれ、乗客は遠巻きに見つめていたのを見ていた蒲田の顔から血の気が引いた。
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