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しかし、事態は思わぬ方向に転ぶ。
本来のダイヤ通りなら確実に事故に遭っていると思われた列車が運転士の川崎、乗客と共に無事だったことが分かったのだ。
川崎によると、先日救った猫が集団でトンネルに列車を入れなかった、とのこと。
流石の鮫洲も、これには押し黙るしかない。
しかし、トンネル崩落による路線の分断は紛れも無い事実だった。
「社長……我が社の現状、目を背けずに見て下さい。
これが、現実です……」
「しかし、まだ神には見放されてない。復活出来ます。」
蒲田が口開いたのに合わせ、川崎も付け足した。
「…………」
「先日の車両故障と合わせて、周防電鉄はかつてない危機を迎えています。
これでも、新型車両を投入なんて悠長なことを仰いますか?今こそ結託すべき時ではないのですか?」
専務の言葉が、鮫洲の心に突き刺さる。
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