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「Let's meat party!Here we go!!」 『YEAHーーー!!!』 政宗の掛け声に、全員が拳を突き上げた。 広い広い客間に大勢が集まり、だれもかれもが肉に期待を込めてキラキラと笑顔を輝かせている。 座卓に並ぶ数々の食材、おもに冬野菜。 それは、もちろん小十郎の畑の大事な大事な野菜達だ。 なんだかんだと言いながらも、この為に選りすぐってくれた物が並んでいる。 上座に座る政宗と幸村が、早くも傍に座るそれぞれの家臣から酒を注がれる。 二人は視線を重ねて一気に飲み干した。 それを皮切りに、全員が思い思いに酒をたしなみ始めた。 肴の漬け物が旨い。 これも当然、小十郎印の野菜で漬けた物。 旨くない筈が無い! 政宗が舌鼓を打って、うんうんと頷いた。 さて、肝心の肉は、と言うと。 まだ出て来ていない。 裏での下ごしらえは予想より時間が掛かっている様だ。 今夜の献立は決まっている。 鍋だ。 部屋の中央、一段低くなった位置に大きな竈がある。 その上に、人が三人分ほども簡単に入れる鍋がどっしりと設置されていた。 風の噂、小早川領の烏城にでかい鍋が有るとの話を小耳に挟んだ政宗。 自分の所でも是非やろうと思い立ったのは、まだ蝉の大合唱が聞こえる夏の頃だった。 全員で暖かい鍋をつつきあう事を楽しむ為に、鍋も竈も冬に向けてこっそりと作り始めた。 当然、小十郎には黙っていた。 反対されるのが目に見えていたからだ。 だが作ってしまえば、こっちのもの。 手間隙かけて作った物を、小十郎は無下に『壊せ』などと言う事は無いと、確信した上での着工だった。 事実、今日の書道大会の後、小十郎に打ち明けた時の反応が物語る。 小十郎はこの存在を知った時、まず、あんぐりと口を開け、続いて政宗に小言を放ち、最後には諦めた。 夕餉を楽しみにしていろ、との政宗の言葉。 小十郎は苦笑で返す他は無かった。 そんな訳ありの鍋。 今はほかほかと温かそうな湯気を立てながら、食材の投入を待ち望んでいるようだ。 出汁は小十郎の折り紙付き。 佐助も手伝った。 俺様、忍なのに。 おかんじゃないのに。 泣き言もなんのその、作りはじめれば一番手際よく、手も抜かず、真面目に美味い物を作る。 それを承知している本人はまた泣き言をつぶやく。 だから嫌なんだよね、と。
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