第壱章 「としでんせつ」

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「っ!!」 いきなりですが、私は一人の男に捕まっています。 ディスタの街を歩いていたところ、あの男に… 男はなかなか大柄で、私はそのままこの牢獄のような部屋へと入れられてしまいました。 今日も一人、女性が連れてこられたわけですが… 大方、ディスタ名物の「人身売買」のネタにするつもりでしょう。 「出られると思うなよ…明日にゃあお前もレグニア裏社会ツアーに連れてってやっからさ!」 あら、もっとめんどくさい事になりそうです。 男は部屋から出て行ってしまいました。 私は手を縛られ、足に鉄球を繋がれ、身動きを取れないようにされています。 薄暗いその部屋には、私以外にもざっと六人ほど人が居ました。 私同様に皆女性の方で、顔立ちも身体もとても綺麗です。 男性のような言い方をするなら 「上玉」ってヤツでしょうか? 女性ばかりを集めて何をしようとしているのかなんて、想像がつくと思います。周囲の方々は、笑顔が無く、暗いです。泣いている人も居ます。 当然でしょうね。ボロボロになった彼女達の服を見ると、された事の非道さが伝わってきます。まぁ、私もその内の一人ですが…
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