第弐章 「くろいかげ」

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「へ~え。面白いじゃねぇかよ」 場所は王都レグニアの集会所。すなわちギルドだ。石造りの立派な施設の中、ギルドナイト達がわいわい雑談をしている。そんななか、牛の亜人種の女性リーゼロッテ・ユグリオンは呟いた。 手に持っているのは、どうやら雑誌らしい。そんなリーゼロッテの呟きを聞き逃さなかった少女が一人。 「何です?一体…」 ノエル・ステイシスだ。ポニーテールにした金髪を揺らしながら、リーゼロッテに近づいていく。彼女はたった今クエストを達成し、報酬を受け取ったばかりなのである。やや疲れが伺える表情でリーゼロッテに問う。 疲れ気味でも、こうして何にでも首を突っ込んでいく好奇心は、彼女の子供らしさからなる一面である。 「いやな、なかなか面白い話が載ってるんだこれ」 「あ。これなんか最近有名ですね…」 リーゼロッテが読んでいた雑誌の内容をノエルに提示する。その内容を把握したノエルは、頷きながら納得したようだ。
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