彼女と僕の出会い

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「──いや」  中学から通い始めたなら、少しでも話題になるのではないか。  だが僕は、そんな話があったことを記憶していない。  僕が知らなかっただけなのか。  もう一度アルバムに目を通すと、修学旅行の写真を見て目が止まる。  人混みの中、本当に少ししか見えないが、彼女らしい少女が写っていた。  やはり彼女は小学校も一緒だったのだ。  その後もしかしたらと思い見れば、人混みや、風景の一部に岩倉が写っているのが分かった。  写真に写らない人というは稀にいるようだが、こんなに些細にしか写っていない人も珍しい。  だが、何度見てもクラスの集合写真に岩倉の姿は確認出来なかった。  休んだのだろうか。それにしたって、学校側が何かしら対処して集合写真の端なりに写すなりするんじゃないか。  ……彼女が不登校であることに、何か関係があるのだろうか。 「明日、彼女に聞いた方が早いな」  考えるだけ時間の無駄だ。情報が何もないのに、真実は見出だせない。  しかし焦ることはない。明日、悩みは晴れるのだから。
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