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「笑うのはね、こうするんだよ!」
そういうと、彼女は僕の両頬を外側に引き伸ばした。僕が抵抗すると、彼女は笑いながら離してくれた。
「全く、いきなりよくもやってくれるな」
「あはは、ごめんね。こうして誰かとふざけあうのも久しぶりなんだ。多目に見てよ」
「久しぶり、ね。ちなみにいつ以来?」
「そうだなあ、小学校低学年以来?」
「大分久しぶりだな」
彼女は少し遠くを見つめながら、うん、と一言呟いた。
「私にはね、双子の姉がいるの」
「姉妹なのか」
「うん、まああんまり仲良くないんだけどね。二人揃って不登校なの。私は小学校低学年くらいから、姉さんは中学生になった直後かその辺だったかなぁ」
では、あの写真に写っていたのは姉の方か。
「一君ってさ、家族と仲はいい?」
「それなり、かな」
「羨ましいなぁ。家はいつもギスギスしちゃってさ……」
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