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何か、という曖昧な表現しか出来ないが、何かが腑に落ちない。
……そうだ、彼女が不登校である理由。虐めを苦にした自殺未遂だったのなら話は判る。だが、彼女は小学校の低学年から不登校だと言った。
なら、その頃の虐めを引き摺ってのリストカットだったのか?
それも違う。あの痕から考えるに、治りかけた状態だった。つまりごくごく最近切った傷だ。
よく考えれば、彼女には妙な部分が多すぎる。家族と仲が悪いなら、なるべく離れていたいと思うものではないのか?
それなのに、彼女は家に留まっている。なぜだ、彼女が不登校である理由が解らない。
「あっ、そろそろ帰らないと。じゃあまたね、一君。また明日、会えるといいな」
「あ、ああ、またね」
相変わらずぎこちなく笑って見送ると、僕は腕を組んだ。
まるで解らないが、おかげで彼女には大層興味が湧いてきた。また、話したいものだ。
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