違和感

7/11
前へ
/115ページ
次へ
 部屋に戻ると、近くの街灯の光が部屋に射し込んでいた。カーテンを閉めていなかったようだ。  カーテンを閉めようとして、自然と目が公園に向くと、ブランコに座る人影が見えた。彼女だ。  夜も更けてきているのに、何故外に?  気になって仕方なく、僕は適当に白のパーカーと深い青のジーパンに着替えて外に出た。  公園に着くと、彼女がいた。夜空を眺めており、僕には気が付いていなかった。  だがある程度近付くとさすがに気が付いたらしい。彼女は身構えるようにしてこちらを睨んだ。何か様子がおかしい。 「何してるの? こんな夜更けに」 「……貴方、誰?」 「え?」  全くもって想定外の言葉に、僕は動きを止めた。しかし、直ぐに彼女の言葉の意味を理解した。 「ああ、失礼したね。僕は篠原一。君の妹さんの友人さ」 「冬美の? あの子に、友達なんていたんだ」  姉、父の話だと、雪美だったか。彼女の方は、随分内向的なようだ。喋り方も抑揚がなく、声量があまりない。ぼそぼそと話す、というのがしっくりくる表現だろう。 「貴方、あの子といて楽しい?」 「その質問には、はい、と答えよう」 「そう、楽しいの。どこが楽しいの?」 「そうだな、僕とは限りなく反対の性格だからこそ、彼女の行動と言動が面白い、と感じるんだ。だから、彼女と接すると楽しいと感じるよ」
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2670人が本棚に入れています
本棚に追加