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意識が落ちそうになるが、瞼が自動的にまた上がる。そのせいか、眠気が少しばかり晴れてしまう。
嫌だな。寝ようとしているのに、こういう時に限って眠くなくなるんだから。
のっそりと起き上がると、窓の外がよく見えた。
夕日の光は眩しいが、町を彩るその色が子供の頃から好きだ。
ぼんやりと眺めていると、ふと家の側にある小さな公園を見遣る。そして誰かがブランコを漕いでいるのが見えた。
公園とは言っても、ブランコと滑り台があるだけの本当に小さな公園だ。滅多に人はいないため、その人物はよく目立っている。
自分と同じ学校の制服を着ている。しかも女子のようだ。
誰だろう。気になって見ていると、彼女がこちらを向いた。そして目が合った……気がした。
あんなに離れているのだから、気付かないはずだ。
でも、目が合ったような気がした。そのせいか、どうしても彼女が気になって、気付いた時には外に飛び出していた。
公園前に着くと、ブランコを支える鎖が軋む音が聞こえた。
少女は、ブランコを漕いでいた。はしたなく足を出して、ゆっくりゆっくり漕いでいる。
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