彼女と僕の出会い

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 そう言うと、彼女はブランコから飛び降りて、僕に向かって手を振りながら走り去ってしまった。  断る暇もなしとは、やってくれる。随分と図図(ずうずう)しい女だ。  少しばかり頭に来るが、友達と呼ばれた時に嬉しく思ったのも事実。そんな自分に、僕は戸惑う。  夕闇が町を覆い始める。奇妙な邂逅(かいこう)を果たして、僕は帰宅し一日を終えた。  次の日、僕はいつも以上に早起きをした。時刻は五時半。  不思議と眠気が晴れ、ベッドの中にいる気になれない僕は、行動を開始する。  まず寝巻から学生服に着替えた。そして鞄に今日の授業で使う教科書を詰め込む。  ここまでしてから、ふと窓の外を見遣る。ブランコは、風を乗せて僅かに揺れていた。  今日の学校帰りにでも寄ってみよう。彼女はまたいるだろうから。  たっぷり時間があったので、余裕を持って中学校に着いた。赤鉄中学校は山の麓にあり、近隣には木々が生い茂っている。  緑に囲まれた学校、と言えば聞こえはいいが、校舎の壁には問答無用で名前の知らない植物の蔦が這っているし、雑草は際限なく生えてくる。しかも校舎は長い年月使われているためか、古い。ぱっと見、廃墟に見えなくはない。
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