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不気味でならない学校に入るのは、気が引ける。
靴箱を開けた時に、周囲の靴箱に付いているネームプレートを見て、僕は彼女の名前を探した。
隣のクラス──二組──の中に、岩倉の名前を発見したが、靴はまだ靴箱に納められていない。
まだ来ていないのか。まあ、まだ登校時間まで三十分弱あるからな。
のんびりと二階に上がって一組の教室に入ると、人は誰も居なかった。
篠原は六列ある机の内、廊下側から二列目の一番後ろの席に着いた。鞄を机の脇に掛ける。
そして一息吐く間もなく立ち上がり、隣のクラスに顔を出した。
物好きとはいるもので、読書をする眼鏡男子が窓際の席に一人座っていた。
彼は僕に気付いたらしい。気になるらしくちらちらと視線を送ってきている。
「つかぬ事を聞くけど、岩倉冬美って人はいつもどのくらいの時間に来ているか分かる?」
「えっ、岩倉さん、ですか」
きょとんとした顔を見せる男子生徒。面長の顔に合わさり、はっきり言って阿呆面に見える。
僕は笑いを堪えつつ、悩む彼の返答を待った。
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