彼女と僕の出会い

7/10
前へ
/115ページ
次へ
 彼は不審そうに僕を見遣る。 「あの、岩倉さんの知り合い何ですか?」 「まあ、一応」 「知り合いの方なのに、知らないんですか? ……岩倉さんはずっと学校に来ていませんよ」  不登校。ではなぜ昨日、学生服を着ていたんだ。学生気分でも味わいたかったのか? 「虐めか何かあったのか?」 「いや、入学時から来ていませんから、中学で虐めにあったってことはないんじゃないですかね」 「そう。ありがとう」  礼を言って早々に二組の教室を出て、自分の教室に戻る。  彼女は学校には来ない。だがあの公園にはいるのか。 「くくっ」  喉の奥で笑うような、小さな笑い声が漏れてしまった。  癖になってしまった笑い方は、中々やめることが出来ない。  全く、やはり彼女は面白い。僕が興味を持つことは必然だったようだ。  放課後、僕は家ではなく公園に足を向けた。  公園に着くと、彼女は昨日と変わらずブランコを漕いでいる。  自分に近付くのが僕だと分かったのだろう。彼女はブランコを飛び降り、僕の側に来た。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2670人が本棚に入れています
本棚に追加