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彼は不審そうに僕を見遣る。
「あの、岩倉さんの知り合い何ですか?」
「まあ、一応」
「知り合いの方なのに、知らないんですか? ……岩倉さんはずっと学校に来ていませんよ」
不登校。ではなぜ昨日、学生服を着ていたんだ。学生気分でも味わいたかったのか?
「虐めか何かあったのか?」
「いや、入学時から来ていませんから、中学で虐めにあったってことはないんじゃないですかね」
「そう。ありがとう」
礼を言って早々に二組の教室を出て、自分の教室に戻る。
彼女は学校には来ない。だがあの公園にはいるのか。
「くくっ」
喉の奥で笑うような、小さな笑い声が漏れてしまった。
癖になってしまった笑い方は、中々やめることが出来ない。
全く、やはり彼女は面白い。僕が興味を持つことは必然だったようだ。
放課後、僕は家ではなく公園に足を向けた。
公園に着くと、彼女は昨日と変わらずブランコを漕いでいる。
自分に近付くのが僕だと分かったのだろう。彼女はブランコを飛び降り、僕の側に来た。
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