彼女と僕の出会い

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 意外に近い。今まで会わなかったのが不思議なくらいだ。  母に礼を言って、僕は部屋に戻る。  そして机に置いた教科書を見て、あることを思い付いた。  そうだ、中学が一緒じゃないか。近所の人ならば、小学校も一緒だったのではないか。  押し入れを漁り、小学校時代の教科書が並ぶ場所を見つけた。そして程なく、小学校の卒業アルバムを見つけだす。  早速学習机の椅子に座り、机の上でアルバムを開いた。  まだ少し幼い友人や自分を見つける。  眉に掛かるくらいの髪に、眠そうな目をした少年が映っており、僕は思わずにやついた。  今と変わらぬ美少年が映っているな。全く、もう少しこの目が釣り上がっていればよかったものを。  自賛なのか自虐なのか分からないことを考えた後、クラスごとの集合写真を発見し、じっくり眺める。  どいつもこいつも変わらないな。  集合写真を見続けるが、中々岩倉らしき人は見当たらない。  彼女は小学校にも行っていなかったのか、それともただ単にこの頃にはこの町にいなくて、中学が始まる辺りに引っ越してきたのか。
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