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そしてその自慢の恋人は、クールなフリして意外と嫉妬深かったりする。
恥ずかしながら茅島さんに言われるまで気がつかず、わざとらしく女の子と話す翔君にモヤモヤしていた時もあったが、それが嫉妬の一面なんだと思うと可愛らしく思えてくるのだ。
翔君を可愛いと思えるのは私の特権。恋人になってから気づけることがいっぱいあって、ますます翔君を好きになる。
――でも、不満がないと言えばそれは嘘になる。
もう付き合って一年以上になるが、恋人らしいスキンシップはほとんどしたことがない。
翔君は嫉妬はするのに、私が男の子と話していると間に入ったりするのに、私が隣に落ち着くとそれでおしまいだ。
茅島さんの助言で翔君に抱きしめてもらうことはできたが、それがなかったら翔君は私が本当に好きなんだろうかと疑ってしまっていただろう。
もちろん私からそういうアプローチをしないのも悪いんだけど、翔君はいくらなんでも無頓着すぎる。
女としての魅力がないのだろうか、そりゃ沙羅さんや綾さんみたいな色気はないけど、私にだってプライドはある。
それでも翔君はかたい。翔君のことを考えると、私が好きなのかどうなのかがごっちゃになる。嫉妬してくれて嬉しくなり、スキンシップがなくて寂しくなる。
「はあ……」
「どうした?」
思わず出てしまうため息。
尋ねてきた当人のことで悩んでますなんて言えない。
恋って難しいな、付き合ってからは特に。
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