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……気持ちが溢れそうだ。
「大切にするね!」
「おう」
口元が弛むのを隠すためにそっぽを向く。
やべえ、こんな風になるまで好きになったの初めてだ。
それから俺たちはゲームで遊んだりプリクラを撮ったり、ジュースを飲みながら喋ったりと楽しんだ。
そして約束していた焼き肉食べ放題へと向かった。
「男の子と2人でご飯食べに行くのに焼き肉って、色気ないよね私!だから彼氏出来ないのかな?」
向かっている途中にそんなことを言われた俺は思わずドキッとする。
「…そんな事ねぇよ。お……俺は好きだけどな、お前のそう言う飾らないところとか、無邪気で楽しそうに笑ってるところとか…」
「え…?」
「……」
「……隼人?」
「……ま、まあ、色気は確かにねぇけどな!」
とっさに冗談を言って誤魔化すと、棗は後ろから背中をポカポカ叩いて来て「もー!!意地悪!色気より食い気だもん!」と笑いながら言っていた。
危なかった。
心臓壊れるかと思った。
それからいつもの調子に戻った俺たちは焼き肉を思う存分食べまくり、そして棗を家まで送っていった。
「送ってくれてありがとう。すっごく楽しかった!また遊ぼうね」
「おう。次はカラオケでも行くか!」
「あ、行くー!じゃあ楽しみにしてるね」
「俺も」
そう会話を交わすと、棗は俺に手を振った。
「気を付けてね。見えなくなるまでここで見送ってる。…心配だから帰ったらメールちょうだい?」
……ダメだ、もう我慢できねぇ。
おまえは何でそんなに可愛いんだよ……。
俺は自転車からおりると、そのまま棗の華奢な体を思いっきり抱きしめた。
自転車の倒れる音がした。
それと同時に棗の体温を感じた。
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