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「ごめん、別れよう」 言いにくそうにしばらく目を泳がせていた九条隼人(くじょうはやと)だったが、何かを決心したかのように、まっすぐと少女の目を見つめて言った。 長い間考えていた。考えて考えて――やっと出た答えだった。 少女、工藤玲香(くどうれいか)はその綺麗な顔を悲しみに歪め、白い肌に一筋の涙を流した。 「どうして…?嫌…別れたくないよ……」 「ごめん、もう無理だ…」 やり直せない。 やり直そうとも思わない。すっかり気持ちがなくなってしまった。 ごめん。 もう、耐えられない。 「束縛……結構キツかった。俺、そう言うの苦手でさ。俺の事信じてくれてねぇのかなって…思ったんだ」 「し、信じてたよ…!信じてた…」 「だったら何でいつも疑って来たんだ?何で監視する?何でケータイを見る?」 「それは……不安だったの。信じてるけど、不安なの。隼人かっこいいし人気者だし、モテるから…」 「信じてたら不安になんてならないだろ…?玲香はめちゃめちゃ綺麗だしすっげーモテる。だけど俺は玲香を信じてたからちっとも不安になんてならなかった。 俺、前に言ったよな。束縛とか苦手だって。だからやめてほしいって。あの時玲香は俺に“わかった”と言った。……なのに、こんな事になってる」 玲香は言葉を詰まらせた。 確かに、そう言った。そんな約束をした。 なのに守らなかった。 どうしても独占欲を抑えられなかった……。
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