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だけど今追いかけたところで俺にはどうする事も出来ない。 あんな風にしてしまったのは俺なのに、俺が元通りにすることは出来ないんだ…。 中途半端なことをすれば、それこそ……。 結局俺は玲香を追いかけなかった。 その日の夜。 自室のベッドに寝転びながら、ピンク色の小包を上にかかげて見つめる。 食べてねって言ってたから食べ物なのだろう。 身を起こして可愛らしいラッピングをとっていく。 玲香はどんな気持ちでこれを作ったんだろう。そんな事を考えながら。 蓋をあけると、そこにはチョコなどで可愛くデコレーションされたカップケーキが一つ入っていた。 ……玲香。 相変わらず器用だな。よくお菓子とか料理とか作ってくれたよな。 痛む胸に気付かないフリをしてカップケーキを一口かじる。 口の中に甘い香りが広がっていく。 ……ん? 二口目をかじった時だった。口の中に違和感を感じた。 なんか…ジャリッて……うわ、なんだこれ! あまりにも不愉快な感覚に口の中のものをティッシュに吐き出す。そして絶句した。 ――おい、冗談だろ? そこには大量の黒い髪が短い状態で何本も散らばっていた。 まるで食べやすいように短く切られたかのようだった。 「う……うわぁぁぁ!」 一気に胸が気持ち悪くなり吐き気を催す。 口を押さえて残りのカップケーキを力の限り壁に投げつけた。 するとベシャッと音がしてカップケーキが飛び散る。すると、黒い髪が何本も同じように飛び散った。 「なんだよ……なんなんだよ!!」 不快感が頂点に達した俺はカップケーキが入っていた箱も投げつけようと持ち上げた。 すると、箱の中に手紙らしきものが入っているのに気付く。
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