与えるならば無償の愛を

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最初から嘘だった。 それがきっと、答えだった。 「雨が止むまでは」 「…何?」 「ううん、何でもないの。」 (雨よ止まないで) そう何度願っただろうか 彼女の雨が止めば、僕は…。 不完全、だから美しい なんて誰かが作ったエゴだと思っていた。 けれど、僕は知ってしまった。 不完全な愛を。 君が泣いてしまうから、そばにいなきゃと思ってた それだけだった。 与えるならば無償の愛を 奪うならば身勝手な恋を そんなふざけた感情で、僕らは一緒に時を過ごした。 「…」 「何見てるの?」 「何でもないってば。気にしなくていいよ。」 彼女の嘘。 手の中のケータイを見つめることしか 君は何かを確かめるすべを持っていなかった。 ディスプレイにこぼれた雫 いつも僕は気付かないフリ。 そういう不完全な愛を求めてた。 いつだって手放しで甘い恋に酔い痴れている それだけではダメだとしても 「ねぇ?」 「何?」 「私のこと、好き?」 「…好きだよ。」 それすら愛しい。 .
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