第序群 いわゆる一つの発覚暴露

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 そもそも主人公なんて輩は自分だけ良いとこ取りし、罪無き脇役達から幸運を搾り取る説明役に次ぐ最低の人種だ、誰がなってやるものか。  脇役も当然の如く却下だ、俺は搾取される側になど回りたくない。  悪役? 止めろよ、俺はただちょっぴり非日常に足の爪先を突っ込んだだけのオトコノコだぜ、人を苦しめたりなんて出来るものか、心苦しい。  そんで、最後に残されたのが……そう。物語に顔も名前も映らない通行人A、いわゆるモブキャラという道だ。  別名エキストラとも呼ばれるこの役割だが……実に良いものだと、俺は思っている。  なんたって主人公達に何か搾取される訳でも巻き込まれる訳でない。ただほんのちょっとすれ違うだけ……出番はたったこれだけで、後は平和な人生が待っている。  だから俺は自分の役割を自覚し、この道に気付いたその時から――自分の全力を駆使して自分の役割に抗い、平和な人生を送る為に日々戦い続けている。  今から語る昔話は、そんな俺の奮闘を、俺の目線から紡いだ、言わば日記の朗読みたいなもんだ。  つまらないかもしれないが……ま、これも俺に話しかけたのが運の尽き、と割り切って聞いてくれ。なるべくは飽きないように工夫すっから。  では、俺の長い長い回想を始めよう。途中で寝たりすんなよ? まあそうなったら叩き起こすが。  さて、まずは日常から語っていこうか……
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