第一群 いわゆる一つの現状説明

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 俺の能力の短所・その一。情報を頭で展開している内は頭痛に襲われる。  これはパソコンの処理の際に起こる熱みたいなもので、当然終了しない限り続くし、情報量に比例して上がっていく。酷く多いと鼻血とか出る、ふらつく、知恵熱が出るの三重苦だ。  だから無節操に調べたり長時間使ったりすると昏倒する、強制終了的な意味で。 (なる、今あいつは屋上で女子に囲まれながら手作りお弁当でお食事中……ね。 しばらくは、動かないな)  俺は常備している(主人公用の)スケジュール帳に情報を記載し。 「終了」  呟き、閉じる。  頭痛も余韻を残しながら徐々に消えていき、そして先程得た情報も、きれいさっぱり消え失せた。  いや、何を調べたかまでは覚えてるけどな。  はい、という訳で能力の制限その一。終了すると調べていた情報が頭から消え失せる。  これは禁書辺りを思い浮かべてもらえば分かりやすいだろう。要するに俺の能力は情報を閲覧する(よむ)事が出来るだけで……貸し出し、持ち出しは許可されていないのだ。  とは言っても人に伝えたり何かに書き残す事は出来るので余程のそれじゃなければ無いのと同等だ。  これも主人公達に説明する為にそうなっているのだろう。正直気味が悪い。 「さて……」  次いで学園の人の密集度を検索。  頭痛と共に、展開されていく情報。 (屋上:50。 中庭:2以下、というか二人だけ。 食堂:120……相変わらずのすし詰めだな。 一階……)  今度はただのメモ帳に書いていく。 (終了、と)  そして先程書いたそれに目を落とし、昼食の場所を考える。 (まず屋上は無いな。何せ沢村が鎮座している、わざわざ関わりにいく事は無いだろう。 そうでなくとも主人公達と鉢合わせかけるそれが多いというのに)  ちなみにそういう時は全部能力で現在を確認し、ほとんどを回避している。  出会ってしまった場合は……まあ、もしそうなったら語ろう――俺流モブ術を!  ……ああ、すまん、キモかったな俺。謝るからその冷たい視線を送るのはやめてくれ、心が荒れる。 (次に中庭だが……この二人というのは恐らく不良系主人公とその幼なじみだろう。 確か名前は……)  胸元から主人公帳(学園や町にいる主人公の情報を簡潔に書き記した手帳だ)を取り出し、探す。
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