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外に出ることはほとんどなかった。
デブと眼鏡に加えて、無造作に伸びた髪。人にお見せする外見じゃなかったし、近所の目も気になった。
高校を辞めた僕が、周りから何て噂されているかぐらい容易に想像出来た。わざわざ自分から辱しめられるような馬鹿な真似はしたくなかった。
1日中、部屋の中で過ごす日々。
食べ物は母が用意してくれたし、欲しいものはほとんどネットで手に入った。その上、誰にも会わずに済む。慣れてしまえば、僕にとって最高の生活になった。
それでも時々、外に出ることはあった。
例えば将来について考えた時、不安と恐怖で胸が押し潰されそうになった。
いじめにあった過去を思い出した時、苦しみと虚しさで泣き出しそうになった。
そんな日の夜、僕はこっそり近所の公園に出掛けて、ブランコに揺られながら冷たい空気を思いっきり吸った。
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